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おじいちゃん2

目が覚めたら、おばあちゃんとお父さんと、親戚の方がいて、

隣を見たら、布をかぶったおじいちゃんがいた。

布をとって、おじいちゃんに「おはよう」と言ったが

返事はない。

あぁ、死んでるんだ。

昨日と何1つ変わらないおじいちゃんの姿を見て、現実がわぁっと押し寄せてきた。



お通夜とお葬式は、身内だけのこじんまりとしたものだった。

椅子に座ってお経を聞いていたら

おじいちゃんとの色んな思い出が駆け巡った。

小さい頃から私のことをよくしてくれたね。

クリームソーダを食べに、いつも喫茶店へ連れてってくれたよね。

ゲートボールで全国大会に行ったよね。

酸素ボンベを担ぎながら、家族5人で温泉旅行に行ったね。

一緒にトランプで遊んだね。

お父さんとお母さんには内緒だよ、とこっそりお小遣いをくれたよね。

入院生活中は間食禁止だったけど、たこ焼きやシュークリーム、いっぱい食べちゃったね。

おばあちゃんとよく喧嘩してたね。

いつも手を握ったら、ぎゅっと握り返してくれたね。



おじいちゃんがいなくなっちゃうなんて、やっぱり信じられないよ。

まだ病院で入院してるんじゃないかなって

この棺の中には、人形がはいってて、ホンモノのおじいちゃんはどこかに隠れてるんじゃないかなって。

そんな気がしてならない。

へんなの。



おじいちゃんの棺の中に、たくさんの花を敷き詰める時、

おじいちゃんの顔を見れるのはこれで最期ですって言われた。

帽子とステッキを入れてお洒落していたおじいちゃんは

まぎれもなくおじいちゃんで、

とても安らかな顔で、すごくキレイだった。

でも、途中から涙で目が霞んで、おじいちゃんの顔はよく見えなかった。

肩を震わせて泣く私に、葬儀場の方が一束の花束を渡してくれた。

「お孫さん、棺の上に、最後のお花をのせてあげてください」

棺の扉が閉じ、その上に華をそっと載せた。

この時、私は始めて声をあげて泣いた。



火葬場で、おじいちゃんの体はなくなってしまった。

骨だけをしっかり遺して。

箱にはいって、おじいちゃんは小さく小さくなってしまった。



筆舌尽くしがたい気持ちがこみ上げてきた。
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プロフィール

HN:
あんこ
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女性
職業:
営業
趣味:
ダンス
自己紹介:
考える力がほしい。本気になれる力がほしい。感性豊かな人になりたい。すべてを包容できる人になりたい。思うばかりでは、叶わない。そんな人間。