涙
今日は、外科実習で患者さんと関わる最後の日だった。
この患者さんと出会ったのは、先週の月曜日。
入院したばかりの患者さんだった。
彼女は、自分の病気を診断されて、そう時間が経っていなかったので、
術前オリエンテーションの時にすごく流涙されていた。
普段は明るく笑顔でいようと頑張っていて、
でも時々見せる暗い表情。
1日目は、不安が強い彼女とどう関わっていけばいいのか、全然分からなくて、
私みたいなただの看護学生に不安や悩みを話せるわけない、と思って、
悩んで、迷って、
その日の睡眠時間は1時間くらい(笑)
でもだんだん、患者さんとの会話での反応を分析したり
理論を用いてアセスメントしていく中で、
関わりの方向性が見えてきた。
光が見えた気がした。
手術当日、彼女は「頑張ってみます」と笑顔で言っていた。
でも、すごく強がっているに見えた。
私にできることは何だろう。
患者さんに変わって手術を受けることはできないし、
気持ちを100%理解することもできない。
でも、少しでも患者さんの不安を緩和してあげることが、
彼女が今一番必要としていることなんじゃないだろうか。
「誰でも手術を不安に思うものです。だから我慢しなくていいんですよ。
手術が終わるまで、待ってますから。
がんばった●●さんを待っていますから。
心配しないでください、絶対大丈夫です。」
そう言ったら、患者さんの肩の強張りが柔らかくなったかのように見えた。
手術後、患者さんにはたくさんのチューブがつながっていて、
痛みや発熱があり、決して楽な状態ではなかった。
その中で今できることは、術後合併症による安楽障害を軽減させることだと思った。
だから観察は怠らなかった。
痛みはあったけど、薬の投与以外に、私にできることがなかったのが悔しかった。
しんどい時って、あまり話しかけられたくないもので、
患者さんもそういうオーラ放ってたし、
だから術後は必要な観察や処置のみで、その他の関わりはあまりなかった。
そして今日術後5日目。
本当は退院まで受け持たせていただきたかった。
けれど、実習は終わってしまうので、挨拶に行った。
「今まで本当にありがとうございました。
たくさんのことを勉強させていただき・・・」
そう言った時、
患者さんがわざわざ立ち上がって、お礼を言ってくれた。
そして、涙を見せた。
術前、悩みに悩みぬいてきたけど、
そうして関わってきたことが、少しでも患者さんの心を動かしていたのなら
それはとても意味のあるものだったんだ。
術後は、あまりお話ができなくて、自分の中でもやもやしてたものがあったけど、
患者さんがその時、一番望んでいることは何か、
そのニーズを捉えながら関わっていくことが大事なんだと気付けた。
患者さんが涙を見せた瞬間、私の中で何かが込み上げてきて、
一緒に泣いてしまった。
何もしてあげられなかったけど、
不安な時に一緒にいること、話を傾聴・受容・共感することも
大事な看護の1つなんだ。
今までで一番学ぶことが多い実習だった。
今までで一番成長できた実習だった。
患者さんのこと、きっと一生忘れない。
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